今回は前回のシートレールの作り変えの話の続きを進めていきます。

前回まではシートレールを作り変えるところまで完成したので、次の工程はシートベースの作成をしていきます。
前回までの記事は以下をご覧ください。

以前のW650でもシートベースは作成しましたが、シートベースには2種類の方法があります。詳しくは以下の記事をどうぞ。

簡単に言うとシートベースを作成する方法には、鉄板とFRPで作成する方法の2種類があるのですが、今までは鉄板で作成しており、FRPでシートベースを作成したことはありませんでした。
ですので今回は初めての試みで、FRPでシートベースを作成してみます。

目次

FRPでシートベースを製作するために必要なもの

FRPでシートベースを製作するために必要なものを準備していきます。
あれば便利な物は色々とありますが、必要最低限の物だけ準備します。

FRPガラスマット

まずはFRPの元となる素材、ガラスクロスを準備する必要があります。
ガラスクロスには番手があるようですが、シートベースに使用するくらいであれば大きさは特に気にする必要はなく、1m程度あれば十分です。
今回は1mパックの以下の大きさの物を購入しました。今回作成するシートベースでは4層重ねにしましたが十分に足りました。

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FRPポリエステル樹脂&硬化剤

ガラスクロスを固めるためのポリエステル樹脂と硬化剤のセット品です。
こちらもホームセンターにて販売されています。
使用量は1kgのセットで少し余るくらいでした。よっぽど大量に使用しない限り以下の1kgセットで問題ないと思います。
値段はホームセンターよりも以下の方が安かったのでお勧めです。
余裕があれば2kgを購入しておくとお得感が味わえます。

ローラー

ガラスクロスをポリエステル樹脂で固める際に、樹脂の塗り付けや空気の押し出しをおこなうために必要になります。
刷毛などでも代用は可能ですが、あった方が作業はやりやすいです。
シートベースの大きさであれば小さい径のローラーがお勧めです。小さいほうが細かな個所までコロコロできて樹脂を浸透させることができます。

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私は使用したことがありませんが、気泡抜き用に専用でセット品のローラーも販売されているようです。

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カップ

ポリエステル樹脂と硬化剤を入れて攪拌させるためのカップになります。
100円ショップで売っている紙コップなどでも良いですが、専用のカップの方がコシがあってしっかりしているので使いやすいと思います。

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割りばし

ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜ合わせるために使用します。
コンビニでもらえる一般的な割りばしでOKです。

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養生テープ

養生テープはシートレールに貼り付けてFRPを取りやすくと汚れないようにする為です。

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マスカーテープ

マスカーテープは養生目的です。ポリエステル樹脂はべとべとするのでフレームやタンクなどに張り付かないようにするために使用します。

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アセトン

ポリエステル樹脂はべたべたするので、アセントンを使用しないと落ちません。使用が終わった用具の掃除用やバイク本体についてしまった際に使用します。

ポリエステル樹脂と硬化剤の分量を量るために秤を使用します。1グラムまで測れるものが必要です。どうせ汚れるので以下のような安物で十分です。

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シリコンスプレー

シリコンスプレーは剥離剤の代わりです。硬化したFRPを剥がしやすくするために使用します。

ビニール手袋

ポリエステル樹脂はべたべたするので必ずビニール手袋をして作業をおこないます。
最後にアセトンを使用する際も手を保護しないと荒れてしまうので注意が必要です。

ビニール手袋は細かい作業がしにくいので、以前紹介したゴム手袋が良いかもしれません。

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FRPでシートベースを製作する手順

それでは早速作業に入っていきましょう。
作業の詳細は以下で説明していますが、流れとしては、ガラスクロスをポリエステル樹脂でペタペタ貼っていく作業の繰り返しです。バイクのシートベース程度の強度であれば、ファイバーマットの使用は必要ないと思います。
また、積層も3~4層程度積み重ねれば十分な強度が得られます。

あまり厚くしすぎると、シートカバーを固定するためのタッカーが刺さりにくくなるのである程度で止めておきましょう。

それでは詳細な作業へレッツゴー!

手順1・・・シートレールへの養生テープとマスカーテープの貼り付け

まずはシートレールへFRPを張り付ける箇所に養生テープを貼り付けます。
養生テープを貼り付ける理由としては先ほども言いましたが2つの理由があります。
一つはFRPを剥がしやすくするため、もう一つはシートフレームをFRPの溶剤で汚さないためです。
なるべく余分に貼り付けるようにします。

シートベースが完成してから思ったのですが、養生テープで型取りしてしまうと、シートベースの裏側(フレーム側)に養生テープの跡が結構残ってしまいます。なのでアルミテープの方がきれいに出来そうです。ただし、アルミテープは養生テープよりもお値段が少し高いです。
裏側なので見えない場所と言ってしまえばそれまでですが・・・。

手順2・・・シリコンスプレーの吹き付け

FRPを貼り付けていく前にシリコンスプレーでは剥がれやすくしておきます。
吹き付けすぎかなと言うくらいに吹き付けてあげましょう。

手順3・・・ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜ合わせる

容器にポリエステル樹脂を入れ、”ポリエステル樹脂10:硬化剤1” の割合で混ぜ合わせます。硬化剤はしっかりと混ぜ合わせておく必要があります。
分量は秤で軽量して混ぜ合わせましょう。

手順4・・・ガラスクロスをカットする

ガラスクロスは大判で売られているため、必要な大きさに事前にカットしておきます。
今回で言うと、シートベースの大きさになるので、600mm×200mm程度の大きさに事前にカットしておきます。必要な大きさより少し大きめにカットしておくのがポイントです。
カットは一般的なハサミでカットすることが可能です。今回は私は4層にするため、4枚に切り分けました。切れ端も捨てずにとっておきましょう。

手順5・・・シートへのガラスクロスを貼り付ける

手順4でカットしたガラスクロスをシートフレームへあてがって、手順3で混合したポリエステル樹脂をペタペタと塗り付けていきます。
塗り付ける感触としては、思い切ってべっとりと塗りたくる感じでいきます。最初のうちは意外にガラスクロスがポリエステル樹脂を吸い込んでくれないので、思っている以上にべったりと塗ると良いです。

また、タンク側のカーブがきつい箇所についてはガラスクロスにハサミで切り込みを入れてなじむようにしておきます。こうしないとガラスクロスが浮いてしまってタンクに沿った形状のFRPに仕上がりません。

あとはこれの繰り返しでガラスクロスを積み重ねていきます。
1枚塗った後の乾燥時間は特に必要ありません。べたべたの状態の上に積み重ねていきます。

注意したいのは、気泡をしっかりと抜くことです。
気泡が残った状態で次のガラスクロスを積み重ねると気泡が抜けなくなるので、1枚積層する順番でしっかりと気泡を抜いていきましょう。
気泡の抜き方はローラーで押し出してあげるとやりやすいです。

2枚積層した状態
4枚積層した状態

この状態で24時間以上乾燥させます。

手順6・・・乾燥したFRPシートベースのカット

完全に硬化したFRPをシートフレームの形状に沿ってカットしていきます。
ある程度の形状をマジックでマーキングしながら、ディスクグラインダでカットをしていきます。

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大まかなカットは切断砥石でカットして、形状を整えるのはペーパー砥石で削っていきます。

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FRPをカットしたり削ったりすると粉がかなり舞うので防塵マスクは必須です。削った際の匂いもかなりきついので、絶対に防塵マスクは装備しましょう。

FRPのシートベースを大まかにカットした状態です。
FRP自体はかなり柔らかいのでサクサクと削れます。むしろ削りすぎを注意する必要があります。

後はフレームに載せながら微調整して、形を整えていきます。
収まりはフレームに合わせて作っているのでぴったりです。

大まかな形が出来上がったので、次はフレームとの固定用のナットを仕込んでいきます。
ナットは通常の物でもよいのですが、FRPは鉄に比べて柔らかいため、陥没する恐れがあります。したがって面圧を上げるためにナットに座金を溶接していきます。
本来は座付きナットと言うのがあるのですが、手元に無かったので自作していきます。

こういう時に溶接機があるととても便利です。私が使用しているTIG溶接機が気になる方は以下の記事で詳しく紹介していますのでどうぞ。

先ほど作成した座付きナットをシートベースに組み込んでいきます。
組み込む方法は、FRPで埋め込ませると言う方法になります。
強度的に少し心配ですがそこまで強く締める箇所でもないので良しとします。

埋め込む方法としては、まずは作成した座付きナットをシートベースに固定します。固定はボルトを利用して挟み込みます。

上記のようにしておき、表側(シート側)にFRPを被せていきます。
なるべく強度を出すためにナットに対して密着させるように注意しながら溶剤をしみこませます。

今回は5枚のFRPを上から被せておきました。
乾燥させて仮にボルトを締め付けてみましたが、強度的には全く問題がなさそうです。
前後で2箇所のナットを埋め込んで完成です。
シートフレーム側のステーも溶接しなければいけませんが、ナットの位置は大体出しておいたので後から溶接します。

今回の記事はここまでです。
次回はシートベースにウレタンスポンジを貼り付けて成形していく工程になります。

それでは!