目次

はじめに

TIG溶接は、タングステン電極を使用する高品質な溶接方法です。この溶接技術は、航空宇宙、自動車、建設などの幅広い産業分野で不可欠となっています。本記事では、TIG溶接機の世界に深く入り込み、その仕組み、種類、機能、選び方などを詳しく解説していきます。

TIG溶接の原理

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TIG溶接の仕組みを理解するには、まずアーク溶接の基本原理を知る必要があります。

アーク溶接とは

アーク溶接は、金属を溶融させるための熱源としてアーク放電を利用する溶接方法です。電極と被溶接物の間に発生するアーク放電により、高温が生み出され、金属を溶かして継ぎ手を形成します。

アーク溶接には、被覆アーク溶接、ガス溶接、TIG溶接などさまざまな種類があり、溶接対象や作業環境に応じて使い分けられています。

TIG溶接の特徴

TIG溶接の最大の特徴は、タングステン電極を使用することです。タングステンは高温でも溶けにくい金属なので、電極の消耗が少なく、長時間の溶接作業が可能になります。

また、不活性ガス(アルゴンやヘリウムなど)を溶接部に供給することで、溶け込みが良くなり、美しい溶接ビードが得られます。さらに、シールドガスの種類を変えることで、溶接特性を変化させることができます。

TIG溶接機の種類

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TIG溶接機には、大きく分けて交流用と直流用の2種類があります。

交流TIG溶接機

  • アルミニウムなどの合金材料の溶接に適している
  • 酸化被膜の除去が容易
  • 入熱量が大きく、溶け込みが深い

直流TIG溶接機

  • ステンレスやカーボン鋼の溶接に適している
  • アーク集中性が高く、溶け込みが浅い
  • 入熱量が小さく、変形が少ない

交直両用TIG溶接機

交流と直流の両方に対応した溶接機もあります。材質によって切り替えて使用できる汎用性の高い製品です。

入力テキストにも紹介されていた「STW202A」はこのタイプの溶接機で、直流4~200A、交流10~200Aの広い範囲で使用可能です。

TIG溶接機の機能

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近年のTIG溶接機には、さまざまな機能が搭載されています。ユーザーの作業効率と溶接品質を向上させるための便利な機能を紹介します。

パルス機能

一定周期でアーク電流をパルス状に変化させる機能です。溶接ビードの外観を改善したり、溶け込みを制御したりできます。

ダイヘン製の「AVP-300」は、10~500Hzの高速パルスと0.5~15Hzの低速パルスに対応しています。用途に合わせてパルス条件を設定できます。

スロープ機能

アーク開始時と終了時の電流上昇・下降を徐々に行う機能です。突然の電流変化を防ぎ、スパッタリングを低減できます。

「AVP-300」では、0.1~5秒の範囲でアップスロープ/ダウンスロープ時間を設定可能です。

水冷機能

トーチを水冷式にすることで、大電流による過熱を防ぎます。長時間の連続溶接作業に適しています。

ダイヘン製の「ARGO300P」や「MRHS300」などは、水冷式の溶接機です。

TIG溶接機の選び方

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TIG溶接機を選ぶ際は、作業条件や目的に合わせて、適切な機種を選ぶ必要があります。

溶接電流値

溶接する母材の板厚や材質に応じて、必要な溶接電流値が異なります。一般的に、板厚が厚いほど大きな電流値が必要になります。

入力テキストに登場した機種では、150A~500Aの範囲をカバーしていますので、用途に合わせて選択できます。

交流/直流の選択

溶接する母材の種類によって、交流または直流のどちらかを選びます。アルミニウム合金なら交流、ステンレスやカーボン鋼なら直流が適しています。

両用タイプの溶接機を選べば、材質を選ばずに使用できる利点があります。

その他の機能

パルス機能、スロープ機能、水冷機能などは、作業の効率化や品質向上に役立ちます。必要に応じてこれらの機能を検討すると良いでしょう。

また、ワイヤ送給装置の有無や、フットペダルでの操作性なども、作業性を左右する重要なポイントです。

まとめ

TIG溶接は、高品質な溶接が可能な優れた技術です。本記事では、TIG溶接の原理から溶接機の種類・機能、選び方までを解説してきました。

TIG溶接機を適切に選ぶことで、確実な溶接作業が行え、美しい仕上がりが得られます。自身の用途に合わせて、機能や性能を十分に吟味し、最適な溶接機を見つけてください。

よくある質問

TIG溶接の最大の特徴は何ですか?

TIG溶接の最大の特徴は、高温でも溶けにくいタングステン電極を使用することです。これにより電極の消耗が少なく、長時間の溶接作業が可能になります。また、不活性ガスを供給することで、溶け込みが良くなり、美しい溶接ビードが得られます。

TIG溶接機にはどのような種類がありますか?

TIG溶接機には、交流用と直流用の2種類があります。交流TIG溶接機はアルミニウムなどの合金材料の溶接に、直流TIG溶接機はステンレスやカーボン鋼の溶接に適しています。さらに、両者の機能を併せ持つ交直両用TIG溶接機もあり、材質に合わせて切り替えて使用できます。

TIG溶接機にはどのような機能が搭載されていますか?

最近のTIG溶接機には、パルス機能やスロープ機能、水冷機能など、ユーザーの作業効率と溶接品質を向上させるための便利な機能が搭載されています。これらの機能を使うことで、溶接ビードの外観改善や溶け込みの制御、スパッタリングの低減などが可能になります。

TIG溶接機を選ぶ際の注意点は何ですか?

TIG溶接機を選ぶ際は、溶接する母材の板厚や材質に応じて必要な溶接電流値を確認し、交流/直流の仕様を適切に選ぶ必要があります。また、パルス機能やスロープ機能、水冷機能など、作業の効率化や品質向上に役立つ機能についても検討すると良いでしょう。